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ヘシニャ

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島嶼看護

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第 V 章-1 ナーシング・リーダーシップ会議

1.ナーシング・リーダーシップ会議

III.島嶼における看護の取組みに関する意見交換
1.宮古島での学部学生の実習に関し以下のような意見交換がおこなわれた。
質問1:地域のボランティアの育成は、どのように呼びかけ育成したのか?
回答:社会福祉協議会にボランティアコーディネーターを依頼し、住民組織に呼びかけてもらった。つまり、社会福祉協議会は退職した校長など宮古島のリーダーたちにお願いしていた。彼らは、「ボランティア組織みゃーくの会」を立ち上げ、自分達の会費で運営(現在32人、1人1000円の出資)しており、大学の教員も賛助会員に参加している。ボランティアには「講師ボランティア」、「民泊ボランティア」、「移送ボランティア」の3つがあり、ボランティアコーディネーターが事務局をしている。学生の中には民泊が苦手な者もいるので、民泊は希望する学生に行っている。

質問2:民泊を希望する学生はどれくらいいるのか?
回答:老年保健看護実習では、ほぼ全員が民泊を希望していた。人々の暮らしを知ることを学習課題にしているので、民泊ボランティアの協力を得ることが大切である。

質問3:宮古島以外にも考えているか?
回答:まずは宮古島からやって広げていく。
  民泊先では、夕食を一緒に作ったり食べたりする。場合にはよっては実習後に、農作業を手伝うこともある。

質問4:民泊とそうでない学生の違いは何か?
回答:現在その評価をしているところである。実習より宿泊先の人の生き様を学んだという声も聞かれ、色々なことを学んでいることがわかった。
ボランティアには資質があり、難しいこともあると思われる。
(外部参加者からの意見)

質問5:民泊ボランティアは看護大学のみの組織か?医学部の学生の利用は可能か?
回答:現在は本学のみのことであるが、将来はそのようなこともあり得る。
 ・これまで外国人の民泊を受け入れた経験があるが、言葉がわからなくて大変だった。
 ・受け入れの期間の問題があると思われる。成人保健看護実習は3週間であったので、希望者が少なかった。学生は高齢者宅に民泊しているにも関わらず、実習から戻ると部屋にこもり夜遅くまで記録を書いており、「学生とお話をしたいのに声もかけられない」と民泊先からクレームがあった。そこで後半の学生には民泊の期間を工夫した。

2.ドクターヘリと離島医療
 1)浦添総合病院は2年前に読谷村にヘリポートを開設した。離島からの要請によってヘリを飛ばしている。年間200件のヘリ要請があり、そのほとんどが久米島である。
 2)南部徳洲会病院は昨年ヘリ導入を行なった。病院の屋上にヘリポートがある。沖永良部や与論島からの要請で飛んでおり、現在まで32件で月平均2件である。これまで地域住民への騒音問題への配慮でヘリ導入が実現しなかった。昨年ヘリ導入したが、現在のところ地域からの苦情はない。病院の中でも音はあまり聞こえないので騒音はあまりないと思われる。15分で飛来でき、救急現場では患者や地域に喜ばれている。ヘリ移送経費は患者の負担とはなってない。

3.遠隔教育システム
質問1:波照間島からの院生がいると聞いているが、講義は宮古島で受講しているのか?
 回答:波照間島の院生は、FCSを用いて波照間の自宅で講義を受けている。演習は宮古島教室にきて行ない、実習と研究は教員が現場にでることもある。
 ・離島での講義は、大学にとり旅費がかかり、また教室の開設や維持にも費用がかかる。院GPプログラム終了後については、現場の機器や装置をどうするか今後検討しなければならない。島嶼地域の現任教育にもこのような遠隔教育機器が必要ではないか。また、研究もこのような機器のサポートがあれば可能である。
 ・回線費用は安い。NTTでは沖縄はローカルなシステムになっており、安い費用で維持できる。通信費用も安い。機械さえ買う費用があればどこでも遠隔システムは可能である。今回テレビ会議システムを整備するのに大学と宮古島の両方でコストは300万円かかり、そのうち宮古は150万円かかった。

質問2:全離島で可能か?
回答:同時ではないが可能である。現在のところ4地点同時は可能である。しかし、南大東島や北大東島は海底ケーブルがまだ整備されていないのでできない。
 ・保健師教育の保健所実習などで、このようなシステムを活用することにより沖縄らしい教育ができるのではないかと思われる。
 ・宮古島や石垣島にはコンビニもあり、都会だと思っている。しかし、多良間島などは島嶼であると考えている。学生の島嶼看護を学ぶには多良間島でもいいのではないか。見て学ぶことで、沖縄の学生は離島のイメージができると思う。学生へは実習のうち1泊は離島を見せるとよいと思われる。
 ・学生は離島の診療所に最低限必要なことを見つけ出すことができれば、教育はできたものと思われる。
 ・大学院生の教育に離島支援のあり方を研究するプロジェクトをつくっている。様々なシステム・ケアの体制の整備、並びにリーダーの育成、実習指導者の育成が必要である。

質問3:離島のナースも産休にはいる。産休代替要員はそうなっているのか。また、人材のローテーションについてはどう考えているか?
回答:県立診療所は、2〜3年でローテーションしている。しかし、竹富島や黒島などの町立診療所にはローテーションがない。人材をシェアリングする必要があるが、島との人事交流が可能か検討する必要があろう。県立病院の看護職者は多機能で働いてきており、勉強してきている。しかし、市町村で働いている看護職は退職をするとその後人材確保ができない状況になる。

質問4:大きな病院の看護職者は離島の看護職との人事交流が可能か?
回答:那覇市立病院は、離島医療の責任はないが、看護部長の立場から離島の看護のあり方は勉強になる。現在、那覇市立病院は独法化しており、その可能性はある。将来それも含めて考えたい。どのような形態で組み込みが可能かまだ考えていないが、卒後教育、継続教育にそのシステムを活かしていくとよいと思う。
 ・県立南部医療センターは、現在7カ所の離島の診療所を抱えている。渡嘉敷島の例だが、本土出身者が臨任で赴任している。彼女は赴任当初、住民の内服薬を処方されている者の多さに気づき、住民は健康を維持するのに薬に頼っていることが知れた。そして、薬以外に健康を維持する方法として食生活改善を考え、関係職種と連携してその問題に取りかかっている状況がでる。離島の看護師が地区診断に基づき住民の行動変容に繋げられる活動を看護師ができればよいと思われる。現在、親病院では看護職の離島勤務希望調査を行なっているが、希望者がいない状況である。離島看護師に求められる能力は何か、どのような看護技術が求められているのかを知ることが重要である。医師不在時の住民や患者の急変時への対応などの能力が求められていることは承知している。
 ・精和病院は離島を抱えてないが、看護職員へは離島勤務の希望調査をしている。しかし、子どもが小さい・親の介護があるなどの理由で離島赴任希望者は少ない状況にある。私が八重山病院にいたころは離島診療所の看護職者は定着していた。長期にわたる離島診療所勤務は最新の知識・技術の修得に後れがでるため、勉強のため親病院へ配置換えをしたいと思い勧めても同意が得られない状況にあった。
 ・徳洲会病院は離島の診療所と3〜4年の毎にローテーションしようと計画している。グループの中で1か月のリフレッシュ研修の計画をしておりマンネリ化を防いでいる。

質問5:A島の保健師が仕事を辞めたとき帰る場所がなく、次の仕事を探さないといけない状況であった。キャリアの継続の問題があるが、病院は離島で保健師として勤務した場合キャリアとして認められているのか?
回答:キャリアの継続は良いことと思うが、現状では継続できない。
 ・離島で看護師が地区診断をすることについてであるが、地域には保健師もいるので臨床と地域の保健師の連携を考える必要があると思う。
 ・与那国の保健師は現在県外出身者で2年目である。去年までに9人が変わっている。保健師を確保しても定着しない問題がある。
 ・地域診断など看護職の連携が必要な部分がある。卒業直後の保健師は、自分自身の離島での生活の構築から始まるので、看護職者は連携し育て合うことが必要である。
 ・キャリアの問題については、県から市、助産師から看護師とこれまでは割愛ができた。キャリアの継続が円滑に出来たらよいと思う。

 

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